多少不謹慎な書き出しかもしれないが、普段は作家先生など一線でご活躍された方がお亡くなりになっても、「人生を全うされたんですね。」という単なる訃報としてしか感じないのだが、今日は通勤の電車の中で水木しげる先生の評を記事で読んでいると、何故か涙が溢れてきた。
水木しげる先生の「幸福の7カ条」の第7条「目に見えない世界を信じる」という言葉は先生の人生観を表していると思います。自身の戦争体験で生死をさまよったことも影響しているのだろうが、精神世界を生きた方なんだろうなと思う。精霊崇拝とでもいうべきなんだろうか、私もそういう気持ちがあって、人生長くやっていると、どうしようもなく落ち込むときや、自分の努力ではどうにも出来ないときなど、私はふと山や川が恋しくなって、おもむろに出かけるのであるが、それは精霊たちに会いに行くとでもいう感じかもしれない。何だろう、力を抜けば力が出てくるといった、自身の驕りを反省、修正していくときに精神世界に入っていくというのは皆が経験することなんじゃないだろうか。代表作「ゲゲゲの鬼太郎」の挿入歌は先生自らの作詞であるが、1番のサビ「おばけにゃ学校も試験も何にもない」、2番のサビ「おばけにゃ会社も仕事も何にもない」、3番のサビ「おばけは死なない、病気も何にもない」は特に印象的で、生きていることは苦である(もちろんそれだけではないことは分かっているが)と人間社会をシニカルに評しているんだろうが、子どもの頃、僕はその歌を逆に怖がっていたことを憶えている。子供だから仕方ないかもしれないけど、「人間は死んだら何処に行くんだろう。」と恐怖したこともあった(笑)。試験も勉強も仕事もないなんて、そしたら死んだらただの暗闇をさまようだけなのかなあ、なんて真剣に考えたりしたんです。第3条は沁みました。「他人との比較ではない、あくまで自分の楽しさを追求すべし。」そうですよね。考えを改めます。明日からも頑張ります。水木先生、どうもありがとうございました。