4月に入ってろくなことがなかった。熊本の地震の惨状を目の当たりにし、他人の不幸を横目に忙し
い毎日を過ごしていた矢先であった。また大好きなアーティストが天に召されて行った。あのマイケル
ジャクソンと並び評された希代のスーパースター、プリンスのことである。死因は明らかにされていな
いが、享年57歳であった。
プリンスの音楽はいつも彼の人生を冒険たらしめるほど、刺激的で前衛的であったと思う。僕は何度
も彼の音楽に勇気づけられた。僕はよくアーティストが発表する作品を自分のそのときの心情と置き換
えて同化する癖があるのだが、プリンスの音楽はいつも僕を勇気づけてくれた。国家試験の受験生時代
は毎日が地獄のような日々で暗闇をさまようような毎日であり、今日精一杯生きたけど、明日こそ死の
うと毎日思っていたが、そんな弱気な僕を支えてくれたのがプリンスの音楽であったと思う。彼の音楽
は常に挑戦であったし、あの反骨心あふれる精神性がたまらなく好きであった。よく、プリンスのファ
ンは変わっていると言われていたが、僕もその類であろう。
プリンスの音楽はセクシャルなパフォーマンスのダンスミュージックとカテゴライズされがちである
が、あまり皆が気づかない目立たない曲の中にこそ、彼の愛に殉じた精神性が色濃く特徴づけられた珠
玉の曲が多数含まれている。最後に、僕の好きなとても美しい曲を紹介して、このセンシティブな章を
終わりにしたい。