マイケルの新譜?なるものをとても複雑な気持ちで聴くことになった。新譜といっても、もう故人となってしまっており、要するに取り巻きが彼の膨大な未発表テイクをリリースしただけのことである。しかも彼に無断で、である。以前こんな話を聞いたことがある。Stevie Wonderは毎日1曲ずつ作曲しているそうだとか、、。彼のアルバムのリリースのインターバルが7,8年くらいとすると、単純計算で1年に300曲作曲するとして、7年間で約2,000曲を創作していることになる。この中からアーティストやプロデューサーの意向でアルバムに収まる10数曲が決まり、我々が耳にすることができることになる。ということは残りのアウトテイクはどうなるのかな?と考えてしまう。それでも世にリリースしたくなかったのだから、リリースしないで欲しいと彼に代わって主張したいが、しかしファンとしてはこのアウトテイクを聴いて、彼の人となりをもっと知ってみたいという衝動にかられるのである。このアウトテイクを違法なものにしたのがブートレグというものである。このブートレグの話はまた今度お話ししたい。
マイケルのこのアウトテイク集なる「Xscape」はおとなしめの曲調が多い。時代背景など、どのアルバム発表時のアウトテイクなのか分からないが、アルバムのコンセプトがしっかりしていないこのアルバムは聴いていてとても悲しくなった。マイケルは自宅でピアノを弾き語りで曲を作ることもあるそうで、あの激しく踊りながら歌うマイケルとは一風違った姿を想像してしまう。ミックスでダンサブルな曲調に仕上がっているものもあるが、どちらかというとピアノの弾き語りのマイケルを想像しながら聴く感じのアルバムである。つくづく優しい子供のような人物だったんだろうなと改めて思いました。全編にLove&Peaceが溢れていました。