マニアックな音楽ネタ(Prince編)

80年代後半から90年代前半にかけてのPrinceの音楽は、黒人の音楽をブラックコンテンポラリーと一纏めにしてしまう音楽評論家たちを吹き飛ばすほどの強烈な個性とアイデアと才能に溢れていたと思う。あの名盤「Purple Rain」は全米チャートを賑わしたが、その直後にリリースされた「Around The World In A Day」はそれまでのファンを裏切るくらい曲調が変わってしまい、「Purple Rain」までの既存のファンが離れてしまったかもしれないが、驚くべきはその曲調異なる2つのアルバムを同時並行で制作していたということ、その後も驚愕するほどのスピードでアルバムを制作していき、「Parade」、「Sing o’the time」、「Lovesexy」など、高校時代からのファンである私も追いつけないほどのスピードでリリースしていった。
 90年代前半も、1回のリリースにCD3枚とか4枚とかで新曲をリリースしていくため、とうとうレコード会社ともめてIndependenceなレーベルを立ち上げるも、レコード会社から契約で縛られ、それを不服として顔に「Slave」と書いて、レコード会社に反抗していたのを憶えている。とにかく稀代の天才であるけど、商業ベースにはのらないほどの創作意欲であったのかもしれない。前回、マイケルのところでも書いたけど、このPrinceのアウトテイクはブラックマーケットに流出していることは有名な話かもしれないが、本当にたくさんのBootlegが流出してしまっている。アーティストにとっては腹立たしいこと
かもしれない。私もアーティストにお金が入らないのは不本意なであるが、このBootlegの中に垂涎の名作があるのも事実で、一時期はそのコレクターになっていたこともあった。Miles Davisとの共作やMavis staplesとの共作など、一部正式にリリースされたものもあったけど、Bootlegのままのものもたくさん存在している。
 彼の本国アメリカのファンクラブに入っていたこともあったが、ある時ファンクラブからBootleggers are not fan(違法な音源を取り扱うものは私のファンではない)」というメールが届いた。どうして分かったんだろうと内心ドキッとしたけど、ファンクラブの人はくれぐれもそんな違法なものに手を染めないでねということだったんだろう。Princeは違法に自分のアウトテイクを売買する業者に腹を立てていて、訴訟というアクションまで起こしたのである。世に出ているPrinceのアウトテイクは1,000曲を超えているんではないだろうか?すごい才能である。アウトテイクの中にも本当にすごい良い曲がある。ここで紹介できないのは残念である。とにかく1日に1曲くらいのスピードで創作しているんではないかと思う。こんなエピソードがある。「Rave un2 the Joy Fantastic」発表当時のインタビューでアルバム中の曲についてインタビューを受けたときに、彼は10年前に作曲したから憶えていないとバッサリであった。アルバムを発表した直後のインタビューで10年前に制作したから憶えていないとは本当に凄い。こんなアーティストは他にいないのではないか?
 ちなみに、今はBootleggerではない。仕事柄、コンプライアンスには敏感であるからかもしれない。若気の至りとこの場を借りて殿下(Prince)にもお許しをいただきたい。
今回はとてもマニアックな音楽ネタでした。

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