保存療法としての整体

頸椎症を患ってから15年くらいが経過するが、最初に試した保存療法は「牽引」であった。整形外科医で牽引を行っていたが、年寄りばかりが待合室にあふれかえり、仕事帰りで疲れているのに、長く待たされたあげく短時間の牽引という感じであった。MRIを撮影し、診断してもらった整形外科医である。しかしながら、これがまったく体に合わなかった。まさに首つりのような感じであるが、顎が痛いだけで何にも効かなかったのを覚えている。整形外科の医師に顎が痛いだけで何も効かないと訴えると、それなら頭蓋骨に穴を開けて引っ張るしかないと言われた。医師は冗談のつもりだったろうが、これが私を西洋医学からしばらく遠ざけた理由でもあった。結局のところ、西洋医学の神髄は執刀であり、リハビリなどの保存療法には非力なんだと決めつけることになった。その日を最後に15年間、整形外科医から遠ざかることになる。このような医者はヤブ医者であると私は断言する。大阪の某総合病院から独立して開業されたので、期待していったが、保存療法は牽引だけではなかったはずであるし、それが患者の症状に合わないのなら、他の方法を検討しても良いはずである。今となっては、頸椎症が神経痛の一種であることを理解している。神経を圧迫している状態を和らげることが保存療法であり、牽引だけが保存療法ではないと思う。
 とは言うものの、痛みは毎日続くわけであり、どうしようと考えていたところ、知人の紹介で柔道整復院に行くことになった。当時30歳をちょうど過ぎた頃であったが、そのようなところに一度も世話になったことがなかったので、半信半疑であった。診療初日にそれまでの経緯を話し、整形外科医にMRIから頸椎椎間板ヘルニア(当時はそう言われたが、本当は骨棘によるものであることが15年たった最近判明することになる。これは、私が整形外科医を忌み嫌っていたからかもしれない)と診断された旨を伝えると、触診であったが、MRIで椎間板ヘルニアと言われたかもしれないが、私はそうではないと思うと言われ、それから1年間、この柔道整復院にお世話になることになった。施術の内容は首の骨を外側から押すのみであったが、これが自分には合ったのか、とにかく気持ち良かった。とにかく毎日、この柔道整復院に通い続け、1年後には激痛はなくなった。基本的にはこの状態がその後15年くらい続いた感じであるが、この柔道整復師、あるとき私に「これ以上、私のすべきことはありません。なので、もう来ないでください。」と言い放ったのである。別に、ずうっと通い続けさせてくれたら良いのにと思ったが、それからは、仕事で疲れると痛みが出るので、そのたびに整体院を渡り歩くことになるのである。

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